ザ・ベストテンのワンシーン2013年10月03日 10:28

先日観たテレビ番組の中でとても心に残るシーンがありました。それは「ザ・ベストテン」を振り返る番組。「ザ・ベストテン」・・・私たち世代(40代)にとってはとってもとっても懐かしいですね。

さてその「ザ・ベストテン」の過去の映像を振り返る中で、このようなシーンがありました。

シャネルズというグループが(同世代の方はよくご存じだと思いますが、知らない世代のために説明すると、顔を黒く塗った風貌とサングラスが特徴的な人気グループです)登場した時のこと。

地方局からの中継で、そこに集まっている若者からシャネルズへの質問を受け付けるコーナーがありました。

そこで出た質問が、

「シャネルズって何で黒人のくせに香水の名前を付けてるんですか?」

でした。

言うまでもなくこの番組は生放送。時間との戦いであることは素人の私にもわかります。

そんな状況の中、この質問を聞いた司会の黒柳徹子さんは涙ぐみながら、次のようにおっしゃったのです。いつも以上の早口で。

「あの・・・時間のないところでちょっとあれなんですけど、さっき○○放送で質問の中で〝シャネルズは黒人のくせに”というふうに質問なさった坊やがいらしたんですけど、ああいうふうに”何々のくせに”というふうに、顔の色とか国籍が違うということで、そういうふうに区別をしたものの言い方をすると私は涙がでるほどとっても悲しく思います。ぜひ皆さん、そういういうことでもって、そういうふうに一段高いところから人を見下ろすように・・・偶然だったと思うんですよ、あの方は・・・だけど、どうぞそんなふうに何々のくせにというふうには言わないでください。お願いします。」

そしてそれを受けて隣にいた同じく司会の久米宏さんは、

「黒柳さんが涙を浮かべて怒るのは当たり前な話でございます。皆さんもぜひお考えいただければね」

とつないだのです。後ろにいる出演者からは拍手です。

このシーン、今ならさしづめ「不適切な表現がありましたことをお詫びいたします」とアナウンサーが頭を下げるところでしょうか。

この場面が心に残る理由はただ一つ。黒柳さんがご自分の言葉で、ご自分の気持ちを、時間の制約がある中で何としても伝えようとされているからです。

学ぶべきはこの姿勢でしょう。

「使ってはいけない表現」だから「詫びる」のではなく、それは「悲しい」ことなのだと自分の言葉で伝えること。これは今のマスコミに欠けていることのように感じます。

大事なことは「不適切な表現を使わないように神経を使うこと」ではなく、「なぜそれが不適切なのか」を自分自身に問い、自分のこととして、(理屈ではなく)それは悲しいことなのだと理解するような導きでしょう。

これはマスコミだけの問題ではありません。社会福祉士として、親として、地域の大人として、私の姿勢はどうか。

真摯に伝えたい何かを自分の中に持っているだろうか。それを自分の言葉で語れるだろうか。理屈をこねて「わかったつもり」になってないだろうか・・・。

30年前の黒柳さんから私に突き付けられたこの命題。折にふれてこの録画を見て、自分自身に問いかけていきたいと思っています。

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